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【のと未来会議2022】#のとがはじまる から#のとでいきる へ。東京から能登町へ移り住んだ移住者のリアルストーリー

”はじまる”から”いきる”への移り変わりを感じる

今年度、「のと未来会議」はこれまで2回実施されてきました。テーマはどちらも #のとがはじまる で、参加されたみなさんがどのように能登町と出会い、関わりを深めていったのか、それぞれの背景にあるストーリーを交えながら対話しました。

2022年度3回目となる のと未来会議は、#のとがはじまる から一歩踏み込んで、#のとでいきる  に焦点を当てました。

生活の中心を能登町に移し、#のとでいきる ことを決意した藤田鮎美さん。

縁もゆかりもない土地へ移住するに当たって藤田さんが感じたリアルな移住体験談をうかがいました。

2022,9,29 のとみらい会議

・オリエンテーション
・チェックイン「あなたの住んでいる場所の自慢」
・藤田さんのストーリー
・小グループでの対話 「感想の共有と自分の暮らしに取り入れたい要素は?」
・全体共有
・クロージング

移住に対する関心ごとはさまざま

話題提供者のお話をうかがう前に、参加者のみなさんから「移住」に関して、気になることや聞いてみたいことを教えていただく時間をとりました。

移住をしようと思ったきっかけや悩んだこと、移住後の生活についてなど、参加者の方の関心はさまざまです。

藤田さんのお話を聞く中で、みなさんの関心ごとがどのように移り変わっていくのか、”移住”というワードを皮切りに、わたしたちの豊かな未来について考える時間が始まります。

能登町への移住に至った経緯

今回、話題提供してくださった藤田鮎美さんは、東京生まれ東京育ち。一時的に千葉県にも住んでいたそうですが、生粋の東京人といっても過言ではない方です。

美術大学を卒業後、都内にある出版物のデザインを行う会社に就職。主に雑誌や書籍のグラフィックデザインに携わり、現在もフリーランスのデザイナーとして活躍されており、並行して国際中医薬膳師としても活動されています。

コロナ禍以降、地方への移住を考えている人、実際に移住した人が増えたといったニュースをよく耳にするようになりました。

「移住」という言葉は、文字通り「よその土地に移り住む」という意味ですが、藤田さんはそこから「住」という漢字の成り立ちについても調べてみたそうです。

「住」という漢字は、「人が土の上で火を灯すのを形づくられている象形文字」とのこと。

これを知った藤田さんは、「住む場所=人が命を燃やす場所」と捉え、どこで、誰と何をして生きていくのかを自分自身に問うてみた結果、能登町で山と海と人と共にいきる力を感じてみたいと思ったのが、移住という流れになったといいます。

移住のきっかけは「能登ローカルシフトアカデミー」

そもそも藤田さんが能登町に移住しようと思ったきっかけは「能登ローカルシフトアカデミー」を受講したことが始まりでした。

※能登ローカルシフトアカデミーとは?

 地域ビジネスの作り方をゼロから学ぶ場。地域資源を活用し、新しい価値の創出を目的としたオンラインとリアルのハイブリットのビジネススクール。

能登ローカルシフトアカデミーに参加し、人と繋がったことで、いろいろなご縁やタイミングが重なり、最終的に能登町を訪れ、能登町の力を知ったことが一番大きかったと言います。

現在、グラフィックデザイナーとしてだけではなく、薬膳師としても活躍されている藤田さん。昨年参加したローカルシフトアカデミーで行われた最終発表会では、能登の食材を使った「能登薬膳」を作るというビジネスプランを立案されました。

(表示されているフライヤーは今年度、実施される案内です)

藤田さんが薬膳に興味をもったのは、東京で会社員として勤めていたとき。自然に触れる機会をもちたいと趣味で畑のボランティア活動をすることにしました。作った作物をその場で食べてみると、スーパーに並んでいるものとは桁違い。

おいしいだけでなく、エネルギッシュで、食物がもつ命の力のようなものを感じたことが、すごく衝撃的だったそう。この経験がきっかけとなって「食べるものにはこんなに力があるんだ。素材の力をもっと知りたい!」と思い、薬膳について学び始めることになりました。

学びを深めていくうちに、より素材や食べ物の力を知りたい、海や山、自然物の力を身近に感じたいと思うようになり、その頃にタイミングよく 能登ローカルシフトアカデミーに出会い、参加することに決めたそうです。

能登町と出会い、能登町でいきることを決意

ローカルシフトアカデミーに参加してから初めのうちは、ご時世的な影響もありオンラインで能登町に住む方の話を聞くことがメイン。移住については、全然考えていなかったという藤田さん。さらに言えば、能登町のことも知らなかったんだとか。

 

そんな藤田さんが徐々に感じていった能登の魅力は、「能登がもつ大地の力

 

オンライン中継で、真脇遺跡を見たとき「これは一度行かなきゃ!」と感じ、ローカルシフトアカデミーのフィールドワークに参加しました。

ただ、残念なことに当日は天候が悪く、飛行機が能登空港に着陸できないというハプニングに遭遇してしまいます。

 

しかし、このとき上空から能登の山々を見て、不自然に人の手が入っておらず、自然なままであったこと、山と海、人が住んでいる里との距離が近いということに気づきました。さらに、宿泊した柳田温泉で洗面をした際、口に含んだお水が甘いことに驚きを覚えます。

能登の山々とおいしい水を五感で感じて、この土地に秘められた力に魅了されたそうです。

また、人との関わりも大きく、能登ローカルシフトアカデミーで出会った人たちや町で暮す人の余裕や懐の深さを感じ、能登に住む人たちも自然と同じくらい、何かを魅了する力をもっていると知ったことも移住の後押しのひとつとなったと言います。

※話題提供者のトークはこちらから動画でご覧いただけます。

 

どんなことでもやってみなきゃ分からない!

今回、のとみらい会議に参加された方から「移住するに当たって、最後まで悩んだことや不安なことはなかったですか」という質問に対し、藤田さんは「移住後の今も不安はあります」と感じていることを正直にお話ししてくださいました。

 

仕事面においては、今はフリーランスのグラフィックデザイナーとしてお仕事をいただいているけれど、いつなくなるか分からないという不安。また、これまでは冬でも比較的気候の安定した地域に住んでいたため、雪の降る季節は、命に関わるのではないかと思うほどの不安があるそう。

 

また、人との関わりについても、今まではローカルシフトアカデミーというハブになるものがあったけれど、それがなくなったときに地域の人たちと繋がっていけるのかという不安もあるとおっしゃっていました。

そのような不安がある中で、移住を決意したのは、「やってみなきゃ分からない!」という思いがあったからだと言います。

11年前の3月11日に発生した東日本大震災。この震災をきっかけに、藤田さんは、「人はいつ死ぬか分からない」という命の危機を感じます。自分が死ぬまでにやりたいことはなんだろうと考えたとき、やりたいことはやっていかないと、いつできなくなるか分からないという思いが強くなったと言います。

 

能登町への移住もそんな思いが背景にあったこと、それとともに単純に能登町に住んでみたいなと思ったそう。人が暮しているということは、仕事は必ずある。仮に今の仕事がなくなったとしても、いち能登町民として、能登町で働いてみたいという思いがあるとのことでした。

 

移住を決めてからは、1~2回ほど能登町を訪れ、「定住促進協議会」の方たちのサポートを受けながら、移住へのプロセスを踏んでいったとお話されていました。

 

自分の暮らしに取り入れたい要素はありますか?

藤田さんのお話を聞いたあとは、小グループに分かれての対話の時間です。今回のテーマは「自分の暮らしに取り入れたい要素はありますか。」というもの。

価値観が多様化する中で、環境、社会とのつながり、仕事と生活のバランスなど、生活の中で幸福を感じる要素や瞬間は1人1人異なります。

お話を聞いて互いに感じたこと、考えたことを話し合うことで、自分自身が日常の中で幸せと感じるためには、どんなことを大事にしていきたいのかを深める時間でもあります。

参加者の方からは、

・ポジティブな考え方が素敵。共感することばかりで、元気をもらえた。山も海も里もコンパクトにあるということは能登町のいいところだとわたしも思う。

・能登の水を飲んでみたいと思った。

・まずは行動するということで、藤田さんが”のとがはじまる”から”のとでいきる”に変化していったように、心がグラデーションのように動いていくと感じた。

・人生を充実させるためのひとつの要素として「移住」を考えていきたい。

・人生をどのくらい豊かに送れたかのバロメーターのひとつとして、自分の葬式に来てくれた人の数があると思う。都会にいて、SNSだけの繋がりだと、お葬式には来てくれないと思う。そういう人生は楽かもしれないけれど、さみしい死に方だし、つまらない。お葬式に来てくれるような人間関係を作っていきたい。

・同じ石川県内でも、金沢と能登だと風景が違う。能登町だと海が近いし、山も近い。移住となると不安もあるけれど、お話を聞いていると勢いで行くしかないんだなと感じた。

移住に関してだけでなく、参加者がそれぞれの生き方について考えることのできる時間は、とても有意義で贅沢な時間。

このように、のとみらい会議は、参加者自らが自分事として捉え、考え、感じることを大切にしています。